訳: 花井 浩之 <hanai@FreeBSD.org>
,
12 September 1996.
訳改訂: 日野 浩志 <hino@ccm.cl.nec.co.jp>
,
12 March 2001.
UNIX® システムにおけるすべてのユーザは、 そのアカウントに対応した一つのパスワードを持っています。 それらのパスワードを秘密に保っておくために、 パスワードは 「一方向ハッシュ」 として知られる方式で暗号化されます。 一方向ハッシュとは、 簡単に暗号化はできるが解読は難しいという方法です。 オペレーティングシステム自身はパスワードを知りません。 その代わりに 暗号化された 形でのみパスワードを知っています。 「素のテキスト」 としてパスワードを得る唯一の方法は、 可能な限りのパスワード空間を検索するという力任せの方法です。
元々、UNIX® においてパスワードを安全な形で暗号化できる方式は Data Encryption Standard (DES) に基づいたものだけでした。DES のソースコードを米国外に輸出することはできないという問題があったため、 FreeBSD は、米国の法律を守ることと、 未だに DES を使っていた他の UNIX® 一族との互換性を保つこととを両立する方法を探し出す必要がありました。 その解決方法は、DES よりも安全であると考えられている MD5 を使うことでした。
現在では、ライブラリは DES,
MD5, Blowfish, SHA256 および
SHA512 ハッシュ関数に対応しています。FreeBSD
がどの暗号化方式を使うようにセットアップされているかを判断するには、
/etc/master.passwd
の暗号化されたパスワードを調べてください。
MD5 ハッシュで暗号化されたパスワードは、DES
ハッシュで暗号化されたパスワードよりも長く、
$1$
という文字で始まるという特徴を持っています。
$2a$
で始まるパスワードは、Blowfish ハッシュ関数で暗号化されています。
DES
のパスワードはこれといって識別可能な特徴は持っていませんが、
MD5 のパスワードよりは短く、そして $
という文字を含まない 64
文字のアルファベットを使って表現されているので、
比較的短い文字列でドル記号で始まっていないものはおそらく
DES のパスワードでしょう。
SHA256 と SHA512 の場合は、$6$
から始まります。
新規パスワードがどちらのパスワード形式になるかは、
/etc/login.conf
の中の
passwd_format
ログインケーパビリティによって制御されます。
その値としては、
des
, md5
,
blf
, sha256
または
sha512
を設定することができます。
ログインケーパビリティに関するより詳細な情報は、
login.conf(5) をご覧ください。
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